WordPressのようなCMSは初心者でも比較的簡単に扱える反面、どのようなファイルがどこにどう配置されているのか中々把握しきれません。
データベースも使用している為、もしWebサイトが何らかの原因で表示されなくなった時最後の手段として使えるのがバックアップからの復元です。
日頃からバックアップを取得しておけば、いざ不意にDoS攻撃を受けてサーバーが停止してしまったり不正ログインされてサイト内容が大幅に書き換えられてしまっても復旧が可能。
ですがバックアップを手動で、しかも定期的に行うのは中々大変な作業です。
そこでWordPressプラグイン、UpdraftPlusを使って完全自動バックアップ&外部ドライブにバックアップ保存を実施して確実にデータが復旧できるようにしていきましょう!
UpdraftPlusとは
UpdraftPlusはWordPressの各種データをバックアップしてくれるプラグイン。
とても手軽で初心者にもおすすめのバックアッププラグインです。
日本語対応
UpdraftPlus自体は海外で人気のバックアップ用プラグインですが、一部を除いてほとんどが日本語に対応しています。
1回設定してしまえば基本的に頻繁に触るものではないですが、それでも設定が日本語で行えるのは英語が苦手な方でも触りやすいですよね!
完全自動バックアップ対応
UpdraftPlusの優れている点の一つが完全自動バックアップ対応。
1度設定してしまえば、後は勝手にバックアップをしてくれます。
バックアップ頻度を1日や1週間に1回という形で指定ができるので、常に新しい状態でバックアップが可能。
完全自動化できるので、僕らはなにかあった時に最新のバックアップを使うだけでOKと大変気軽です。
セキュリティで一番怖いのはヒューマンエラー!
完全自動化する事でなんにもしなくてOK!
外部ドライブ連携が可能
これがUpdraftPlusを使う最大のメリットと言えます、Google DriveやDropboxといった外部ドライブにバックアップ先を指定可能。
バックアップの基本は障害があっても即座に使用できるような状態でファイルを保管しておくこと。
同じサーバーにバックアップファイルがあったら意味無いですよね、サーバーそのものが物理的に壊れたりサーバーのHDD/SSDがまとめて吹っ飛んでしまった!なんて状況なら一緒に消えてしまいます。
つまりバックアップはWordPressが設置されているサーバーと物理的に違う環境に保管するべき。
そこで便利なのが外部ドライブ、いわゆるクラウドストレージサービスですね。
UpdraftPlusは非常に多くのクラウドストレージサービスに対応していて、自分が使っているサービスを指定可能です。
UpdraftPlus Vault | Dropbox | Amazon S3 | S3-Compatible |
Google Drive | Gooogle Cloud | Microsoft OneDrive | Microsoft Azure |
Backblaze | Rackspace Cloud Files | OpenStack (Swift) | DreamObjects |
FTP | SFTP / SCP | WebDAV |
特におすすめなのは既に使っている方が多いであろうDropbox、Google Drive、Microsoft OneDrive(有料アドオン使用)辺りでしょう。
いずれも無料プランがあり、個人ブログ程度の規模であればバックアップ専用と考えると十分です(ただし画像が多くなったり、バックアップファイルが大きくなると容量オーバーの可能性あり)。
プレミアム版で更に便利に
UpdraftPlusは基本的に無料で利用ができますが、サブスクリプション契約のプレミアム版を導入すると更に便利に使えます。
- バックアップ実行時間の詳細指定
- マルチサイト対応
- バックアップ先クラウドの複数指定
他にも多数の機能がありますが、サイト数によって価格が変わってきます。
例えば10サイトまで対応のBusinessプランだと年間$95(1万円前後)、2年目以降は割り引かれて$57(6,000円前後)。
決して安い価格ではありませんが、マルチサイトの場合はプレミアム版が必要です。
そうでなければ無料版でも十分過ぎる機能が揃っています。
基本的にはマルチサイトじゃなければ無料版で十分!
ちなみにちゃんと確定申告をしている人はこういうサブスク費用も経費になるよ!
UpdraftPlusでできないこと
非常に便利なUpdraftPlusですが、当然なんでもできる訳ではありません。
WordPress管理外のファイル・ディレクトリは対象外
UpdraftPlusでバックアップが取れるファイルやディレクトリはあくまでWordPressが管理する物のみです。
例えば僕も当ブログ上で行なっていますが、ユーザーにExcelファイルや何かしらのファイルを配布する為に作ったディレクトリやファイルなんかは対象外です。
Google Search Console等でサイト認証時にHTMLファイルを指定してドキュメントルート直下にアップロードした、これも対象外。
Google AdSence等の広告に関連するads.txtも対象外です。
この手のファイルは頻繁に更新するものでも無いので、別途自分でローカルやクラウドストレージに保存しておきましょう。
複数サイトを1つのクラウドストレージで管理はできるけど非推奨
複数のサイトを1つのクラウドストレージにバックアップ、まず先に言っておくと可能です。
バックアップファイル(zip/gz)自体にサイト名が入ります(日本語のような2バイト文字は入らない)し、サイト名の直後にハッシュ値も入ります。
なのでプラグイン上から操作する分には一切問題ないんですが、いざ何かあってクラウドストレージ上から直接バックアップファイルを探し出さなければいけない時数が多いとかなり大変です。
それこそヒューマンエラーの元なので、可能であればサイトごとにクラウドストレージを分けて管理するべきです。
後述しますがGoogle Driveの場合Googleアカウントは何個でも作成可能なので無料で使いたいという方はGoogleアカウントをサイトごとに作成すると良いでしょう。
プレミアム版を使う方はクラウドストレージ上のフォルダ名を変更できるので同じクラウドストレージを使用してもOKです!
クラウドストレージを無料で使う場合容量もそんなに多くないからあんまり詰め込みすぎは辞めた方が良いかも・・・
UpdraftPlusのインストール・設定
それでは実際にUpdraftPlusの設定を行なっていきましょう!
まずはWordPressのプラグインの追加、もしくはWordPress.orgのプラグインページからzipファイルをダウンロードして追加します。
同じアイコンのプラグインがいくつかありますが、「Updraft Plus WordPress Backup Plugin」をインストールして下さい。
インストールが完了したら有効化し、設定ページを開きます。
UpdraftPlusの基本設定
設定項目はそれほど多くありません、数分もあれば終わらせられるでしょう。
ご自身のサイト規模やセキュリティの考え方に合わせて最適な設定をして下さい!
設定は”設定”タブで行なっていきます。
バックアップディレクトリの作成
まず一番始めに行うのがバックアップディレクトリの作成、これはエラーが出る人と出ない人がいます。
もしここにエラーが表示されていなければ次の「バックアップスケジュールとバックアップファイル保持数の設定」に進んで下さい!
エラーが出ている方は設定タブをクリックします。
ディレクトリの作成&権限の設定はプラグインが自動で行なってくれます。
下の方にスクロールすると「バックアップディレクトリ」というセクションがあるので、文中の「ここをクリックし、ディレクトリの作成とアクセス権を設定します」をクリックします。
こんな感じの表示になればOK!
万が一ここで失敗した場合はFTPソフト等でwp-content直下にupdraftディレクトリを作成し、777のパーミッションをつけておいて下さい!
バックアップスケジュールの設定
どの程度の頻度でバックアップを取得するか設定します。
- 手動
- 2時間
- 4時間
- 8時間
- 12時間
- 1日
- 1週間
- 2週間
- 月
多くの選択肢がありますが、あまり更新が多くないサイトの場合は1週間に1回程度バックアップをとっておけば良いでしょう。
逆に更新が多く、日々データベースが更新されるようなサイトの場合は1日に1回程度とっておけば良いと思います。
WordPressはユーザーからのコメント、プラグインを使ってのアクセス解析やヒートマップ等リアルタイムにデータベース情報が変わるのでその辺を重視される場合は頻繁にバックアップをとっておくべきです。
ちなみに僕は1日ごとにバックアップを取得しています。
バックアップはテーマやプラグイン等のファイル、記事やコメント等のデータが入ったデータベースを個別に設定できるので、ファイルはそんなにいじらないから1週間に1回でデータベースだけは毎日というような設定もOKです!
バックアップファイルの保存回数
続いてバックアップファイルを保持する数、いくらクラウドストレージと言えどバックアップファイルを無限に保存できません。
特に大きな規模のサイトになると1つ1つのファイルサイズも大きくなるので、一定個数を上限に古いバックアップファイルは破棄しても良いでしょう。
UpdraftPlusはそんな面倒なバックアップデータの破棄も自動で行なってくれ、古いバックアップファイルは自動削除してくれます。
容量が限られているクラウドストレージには嬉しい機能ですよね!
これもバックアップ頻度によって多少変えたいところですが、1週間に1回バックアップを取る方は2~3程度残しておけば良いと思います。
逆に毎日バックアップを取る方は最低でも5以上欲しいかなというところ。
復旧しなければならない事態に陥って数日気付かなかったらバックアップされるファイルも問題がある状態になってしまいますよね、これを防ぐためです。
ちなみにバックアップ頻度によらず1は避けて下さい、万が一バックアップファイルがなんらかの理由で破損していた場合に対処ができなくなってしまうので最低でも2以上を指定するべきでしょう。
クラウドストレージの容量がどの程度あるかにもよるので、適切な物を吟味してみて下さい!
UpdraftPlusのクラウドストレージ設定
ここまでで最低限バックアップを取れるようになりましたが、UpdraftPlus最大の便利機能であるクラウドストレージへの自動アップロードを設定していきましょう。
Dropbox | Google Drive | Microsoft OneDrive | |
---|---|---|---|
無料プランの容量 | 2GB | 15GB | 5GB |
有料プランの容量 | 2TB 1,500円/月払 14,400円/年払 | 100GB 250円/月払 2,500円/年払 | 100GB 224円/月 |
UpdraftPlusの利用 | 無料 | 無料 | $15(約1,500円)/年 |
ほとんどの人が選ぶであろう3つのサービスの無料プランと、個人ユーザーが使う有料プランの最も安い物を一覧にしてみました。
既に有料で使っているサービスがあればそれをそのまま使えばOKですが、まだどれも使っていないのであれば最有力候補はGoogle Driveです。
無料で15GB、有料版も2,500円/1年間(年払いの場合)で100GBとバックアップには十分な容量です(ただしGmailやGoogleフォトと容量は共用)。
場合によってはバックアップ専用のGoogleアカウントを作っても良いでしょう、15GBほぼほぼ全てをバックアップに使うことも可能です。
このサイトは100記事ちょっと(+下書き30ぐらい)だけど画像が多いので4GBぐらい・・・Dropboxじゃ全然足りないからGoogle Driveを使ってるよ!
Microsoft OneDriveユーザーは残念ながら別途UpdraftPlusでアドオンの購入が必要です。
年間$15(約1,500円前後)ですが、Windowsユーザーとは非常に親和性が高いのでどうしてもMicrosoft OneDriveが良い!という方は別途アドオンの購入を行なって下さい。
クラウドストレージの連携
それでは実際にクラウドストレージを連携していきましょう!
ここではGoogle DriveとDropboxの設定を解説します、使うドライブをクリックして進んで下さい!
Google Driveを使う
Google Driveを選択するとGoogle Drive連携設定が表示されます。
赤枠内のリンクをクリックして設定しましょう!
- Step.1Googleアカウントの選択
連携をするGoogleアカウントを選択します。
ログインしていない場合はログインして選択して下さい。
- Step.2リクエストを許可
Googleアカウントと連携する事により、UpdraftPlusはファイルの表示や作成、管理を行います。
問題なければ許可をクリックします。
- Step.3セットアップを完了させる
この画面になれば設定準備ができました!
Complete setupボタンをクリックすると設定が完了します。
- Step.4設定完了の確認
上部に「成功」の文言が出れば設定完了です!
続きは「手動バックアップを行う」からお読み下さい!
Dropboxを使う
Dropboxを選択するとDropbox連携設定が表示されます。
赤枠内のリンクをクリックして設定しましょう!
- Step.1リクエストの許可
DropboxにログインしていればUpdraftPlus.comフォルダの作成とアクセスの許可を求められるので問題がなければ許可をクリックします。
ログインしていない場合はログインして許可して下さい。
- Step.2セットアップを完了させる
この画面になれば設定準備ができました!
Complete setupボタンをクリックすると設定が完了します。
- Step.3設定完了の確認
上部に「成功」の文言が出れば設定完了です!
UpdraftPlusで手動バックアップを行う
バックアップを行う準備が整いました、まずは現時点でのバックアップを取ってみましょう!
手動バックアップ手順
まずはバックアップ / 復元タブに移動します。
ここではファイルやデータベースの次回自動バックアップ日時の確認、現時点で即時バックアップを行うことが可能。
試しに今すぐバックアップボタンをクリックしてみましょう!
Include…はそれぞれデータベースとファイルをバックアップ対象に含めるか、チェックしたままでOKです。
クラウドストレージにバックアップファイルを保存するのでリモートストレージに送信もチェックしたままでOK。
最後の「このバックアップは手動でのみ削除する」は、バックアップ保持数に達した時自動削除する対象から外すことができます。
通常は必要ありませんが、バックアップを保持しておきたいタイミングがあれば選択しても良いでしょう。
今すぐバックアップボタンをクリックすると現在の状況をリアルタイムで確認ができます。
小規模サイトだと数十秒でバックアップが完了します。
僕はこのブログの場合完了まで15分ぐらい!
メディア(画像や動画)が多いとその分長くなるよ!
こんな感じの表示が出ると無事バックアップ完了です!
クラウドストレージの確認
バックアップが完了したので、本当にこのバックアップファイルがクラウドストレージにあるかどうか確認してみます。
僕はGoogle Drive、アクセスすると新しくUpdraftPlusフォルダが作成されていますね!
こんな感じのファイルが5個あればOK!
ファイル名をよく見るとバックアップした時間やどのファイルなのか(データベース/その他/プラグイン/テーマ/アップロードファイル)等の情報が記録されています。
バックアップログの確認
今すぐバックアップボタンの直下には一番最近のバックアップログの確認やダウンロードが行えます。
バックアップファイルの確認・操作
ログの下にはバックアップ済みセクションがあり、ここでバックアップファイルの確認や各種操作が行えます。
UpdraftPlusで自動バックアップを行う
今度は自動バックアップの確認です。
自動バックアップは設定さえしていれば勝手に行われるので、最初の自動バックアップ後1度確認しておきましょう。
自動バックアップの次回日時はバックアップ / 復元タブの次のバックアップスケジュールセクションで確認ができます。
UpdraftPlusのバックアップから復元する
最後にUpdraftPlusでとったバックアップから復元する方法を知っておきましょう!
分かりやすいように下準備として、バックアップ作成後にバックアップテスト記事を作成しておきました。
データベースを復元した時にこの記事が消えていればバックアップ成功という事になります!
復元手順
- Step.1復元ページへアクセス
まずは復元ページへアクセスします。
バックアップ日時を見て、バックアップしたい時点のファイル内にある復元ボタンをクリックします。
- Step.2復元対象の選択
今回は記事データが格納されているデータベースを選択しましたが、ここで個別にどのファイルを復元するか選択できます。
サイト全体をまるっと復元したい場合には全て選択すると良いでしょう。
- Step.3バックアップファイルの準備
バックアップファイルをクラウドストレージ上からダウンロードして準備します、これは全て自動でやってくれるので何もしなくてOK。
少し待つとこんな画面になります。
- Step.4復元の実行
復元が始まると右側のActivity logに実行内容が高速で出力されます。
終了すると左側のReturn to UpdraftPlus configurationボタンが押せるようになるので、このボタンをクリックして終了です。
- Step.5復元完了
プラグインページに自動で戻り、上部にバックアップが復元されました。というメッセージが出力されます。
先程作成しておいた「バックアップテスト用記事」ももちろん無くなっています!
しっかりデータベースがバックアップ時点に戻ったことが確認できますね。
UpdraftPlusでWordPressを安全にバックアップしよう
UpdraftPlusを使う事で常に攻撃リスクに晒されているWordPressを安全にバックアップすることが可能です。
しかも全自動、面倒なファイルのダウンロードや整理のような管理は一切不要です。
もちろんDDoS攻撃のような外部からの攻撃は侵入を許す前に防ぐべき、しかしデータは何も攻撃だけで失われる物ではありません。
不意のサーバートラブル、操作ミスによるヒューマンエラーも十分あり得ます。
そうなった時にバックアップが残されていればどうにでも対処できます、まさに最終手段ですね!
しっかりバックアップをとっていざという時に困らないよう対処しておきましょう!
コメント